妊娠中・産後の治療

妊婦さんへの治療について

当院では妊婦さんの治療を受け入れております。安心、安全を第一に考え身体へ負担にならないように考慮いたしております。

安心の治療:過度な刺激、妊娠に対して危険なツボへの刺鍼は行いません。 腰部、腹部の刺鍼は行いません。

安全な治療:うつ伏せは妊娠3ヵ月までとし、4か月以降は仰向け、横向き、座位で行います。またビーズクッションを使って姿勢を取りやすいようします。

妊娠時の姿勢 解説

妊娠初期:正常な状態。

妊娠中期:お腹の中では胎児は成長し子宮が徐々に大きくなり、下腹が出てくると、子宮に押されるように骨盤が後ろに倒れる。骨盤に合わせて腰椎と胸椎も後ろに出て猫背になる。

妊娠後期:お腹が大きくなると前側に加重がかかり骨盤は前に倒れ、腰は反るように腰椎が前に出て、お腹を支える為に背中はさらに後ろに丸まります。

 

各症状の解説

 

つわり

妊娠初期に多くの妊婦さんが経験する「つわり」は現在も原因不明で、重症軽症と個人差も大きく現れます。早いかたでは妊娠5週目から始まり、8週目~10週目頃が症状のピークとなり、14週目頃には落ち着いて消失していきます。

なかには長引き後期になっても続く方もいます。主な症状は吐気、臭いに過敏になる、食欲異常などあります。

症状

嘔吐・吐気、臭いに敏感(食べ物、生活臭)、食べ物への嫌悪、嗜好の変化、精神的不安感

胃のもたれ・ムカつき、眠気、下痢・便秘、頭痛、喉の異物感、唾液過多、疲れやすい、肩こり

など

悪化要因

・疲労

・ストレス

・出産の不安

・気候(高温多湿)

つわりの原因(諸説)

・黄体ホルモンとHCG(絨毛性ゴナドトロピン)が大量に分泌している影響

・胎盤が未熟なため、妊婦の体が赤ちゃんを異物と認識してアレルギー反応

・急激な身体変化による一時的な自律神経失調

・母体があまり動かない為の防衛反応

・毒素となる食べ物を排除する目的

 など様々言われています

要注意なつわり

症状が重症化すると妊娠悪阻と言い、入院が必要となります。

・一日に何十回も吐く

・水も飲めない

・3日ほど何も食べられない

・体重が約3~5キロ減る

・トイレの回数が極端に減る

・日常生活が送れない

このような症状があると病院に行きましょう。入院し食事療法を行い点滴で栄養を補うことが多いようです。

つわりの鍼灸治療

東洋医学的考察

妊娠することにより胎児分の生命力が高まり、熱が上がる。これは妊娠の維持による黄体

ホルモンの反応ではありますが、東洋医学では子を養うため血と陽気(熱)を送ると考えます。

熱は腹部つまり体の奥にいくため内熱といって熱がこもやすくなります。

熱が多くなると余分な熱は上昇し胃や胸まで停滞すると気持ち悪いや食欲過多、不振になります。

治療は胃や胸にこもった余分な熱をとるように行います。

「つわり」は妊婦さんの精神的影響が大きく、胎児への影響も考えられます。

ぜひ周囲のご家族やご主人はフォローや協力をしてあげて下さい。

決して甘えやワガママではありません。深いご理解をお願いします。

 

浮腫(むくみ)

妊娠後期になるとお腹も大きくなり、血管を圧迫しやすくなります。

胎児が大きくなるにつれ、子宮も拡大し内臓を押し上げるようになります。妊娠8カ月頃には腹腔全体に及びます。

そのためお腹の動脈(足に血を送る血管)と静脈(足から心臓へ戻る血管)ともに圧迫されることにより血行が悪くなり浮腫みを生じます。また血行が悪いことで足の静脈瘤や痔になる場合もあります。

妊婦さんの浮腫みの特徴

・骨盤の歪みがあると左右の足で浮腫み方が違ってくる場合がある。

・血管(動脈)の圧迫が強いと足首や足先だけ浮腫みが強く表れる。

・運動量が減り、横になると浮腫みやすい。

・手足だけでなく顔も浮腫みやすい

 (お腹が大きくなり背中が丸まるため首が前傾になり首凝りが増すため)

注意が必要な浮腫み

浮腫みが強く、なかなか引かない場合は妊娠中毒症の可能性があります。血圧を測定してみて心配な場合は主治医にご相談下さい。

※妊娠中毒症とは・・妊娠に伴い血圧が上昇し、高血圧・タンパク尿・浮腫みを起こします。

浮腫の鍼灸治療

東洋医学的考察

妊娠中は腎が働く、陰気が多い臓なので、引き締める作用がある。つまりお腹に胎児を留めるよう働くと考える。しかし腎の気が弱まることで水を引き締める働きが低下すると足の浮腫みが生じやすくなる。またつわりの症状が強かった方は、脾胃の働きが弱まり、胃の熱が少なくなると水が停滞しやすくなる。これは全身の浮腫みが現れやすい。

腎や脾胃の調整の治療を行い、余分な水分を流す、吸収すように促します。

◎浮腫みの詳細ページはこちらへ

 

肩こり背中の凝り・張り

肩や背中の筋肉は負担をかけなくても、上体を起こしているだけで力は入ってます。しかし動かさないでいると部分的な血行不良を起こし筋肉が固まります。妊娠することで、お腹の重さを支える力と、胎児の成長に伴い体の可動制限や姿勢の変化(歪み)が肩や背中の筋肉には負担になるのです。

背中の張りも長く続くと筋肉を傷つき(スジ違い)強い痛みを感じることもあります。

しかし妊娠中は痛み止めの薬やシップの使用はできません。

鍼灸は妊娠中のお体に負担なく、痛みや凝りを解消することが可能です。ただし治療範囲と刺激量も考慮しないといけないので、複数回の治療が必要な場合もございます。

肩こり・背中の張りの鍼灸治療

東洋医学的考察

肩こりや背中の張りは五臓ではどの臓での変調でも起こります。体質も考えて証を決める必要もありますが、筋肉の硬さが目立つ場合は肝の弱さかもしれません。肝は血を貯めて筋肉を栄養を送る働きがありますが、血が不足すると筋肉が硬くなります。足のつりや貧血などあれば肝虚として治療します。

◎肩こりの詳細ページはこちらへ

 

頭痛

妊娠前から頭痛を頻繁に出ていた方は妊娠すると、なお頻繁にでてくる場合があります。

要因としては疲労の蓄積、頭痛薬が使えないため、ホルモンの影響、つわりに伴う自律神経の影響などが考えられます。

痛みの性質は個人差もあり筋肉の凝りによる緊張性頭痛、ホルモンや自律神経の影響による血管性の片頭痛と分かれます。

頭痛の鍼灸治療

東洋医学的考察

頭痛は上記の肩こりと同じように各五臓の変調で出てきてもおかしくありませんが、肝虚で血が不足している場合に熱が頭のほうに上ると胆経の流れでコメカミに頭痛が生じることが多いです。また、つわりの関係や元々の胃腸の弱さから胃経の流れで前頭部や頭全体が重い様な頭痛がでることもあります。原因や体質に合わせて処置することで十分な症状の緩解につながると思います。

◎頭痛の詳細ページはこちらへ

 

坐骨神経痛

坐骨神経は腰椎から出ている神経の太い束で、腰椎部で圧迫(ヘルニア等)か臀部の筋肉による圧迫が原因で起こります。

妊娠後期になるとお腹は前に突出し、骨盤は前傾するために、股関節も前方に位置し、臀部の筋肉が緊張しやすくなります。元々の歪みや生活のクセによって左右差が大きくなると偏った筋肉の硬さが生じ坐骨神経に当たりやすくなります。

坐骨神経痛の鍼灸治療

東洋医学的考察

シビレや神経痛は東洋医学では痺症と呼びます。これは気血の流れが悪いことで生じます。部分的に通りを良くするような治療が必要ですが、鍼は深く刺せないので、弱いお灸で患部の気血の循りをよくするのが必要です。

障害が起こる経絡を刺激することで骨盤の歪みも改善することが多いです。

◎腰痛・坐骨神経痛の詳細ページはこちらへ

 

逆子(胎位異常)

通常、胎児は頭が下を向く頭位という姿勢をとります。逆子は字の通り逆さの子で頭が上を向き、足が子宮口側に位置する姿勢を言います。

逆子になると分娩時に頭が引っ掛かり、胎児に危険を及ぼすリスクがあるため、帝王切開になるケースが多いようです。

原因は不明とされています。要因では骨盤の狭さ、羊水量の多さ・少なさ、前置胎盤、臍帯巻絡など

逆子の鍼灸治療

東洋医学的考察

冷えが原因とも言われています。下半身が冷え、お腹の中でも下より上のほうが温かく、上を向くのではないかと考えられます。妊娠は腎が旺盛に働くことで維持されているため陰気が強く、お腹に胎児を引きとめる作用があると考え、しかし陰陽のバランスが悪く、陰気の引く力が強くなりすぎると胎児も上に引っ張られる。そんな風に考えられます。

適度に腎の陰気を抜くために至陰という足の小指のツボが有効と考えています。

 

陣痛促進

陣痛は脳下垂体ホルモンのオキシトシンが分泌され、子宮が収縮し始めて、子宮収縮が一定の規則的に起こります。陣痛が起こりにくい要因は初産で子宮の収縮しにくい、高齢出産で陣痛が感じにくい、体重過多で胎児が下がりにくいなどあるようです。

正常に陣痛が起こらない場合は陣痛促進剤を使うのが病院の処置になります。

鍼灸治療は自然に陣痛が起こるように促すものです。

陣痛促進の鍼灸治療

東洋医学的考察

逆子の考察でも言ったように、腎の陰気が引きとめていると考えれば、腎気を抜けばいいので同じ至陰でいいのです。ただし逆子の時よりお灸の量が多くなります。あとは三陰交というツボも加えて、全身治療を加えることで体がリラックスして子宮が動きやすい状況を作ります。

 

産後ケア

出産という大仕事は女性の身体に負担も大きく、その後育児もすぐ始まり生活環境・生活リズムも大きく変わります。
産後の歪みを整えることで育児での体の負担の影響を軽減できます。
当院では必要に応じて、運動指導(筋トレ)や自己ケアをすすめることで通院が難しくても養生ができるような産後ケアとしています。

心身ともに疲れやすい時に、少しでも安らげる時間、気持ちの余裕ができるようなサポートができればと考えています。

産後ケアというと骨盤の歪みがイメージされると思われます。たしかに産道が開き、骨盤ベルトなどで締めることもケアのひとつです。
しかし上記、妊娠時の姿勢解説でもあるようにお腹の膨らみと重さで骨盤だけでなく、背骨も歪みます。これから続く授乳や抱っこがなお負担に感じるものです。

また産後では産褥期という妊娠前に戻るための約産後6週間の時間をいいます。その間に産後の疲労、子育てへの不安、産後のホルモンバランスの影響などあり全身症状を及ぼすことがあります。

主な症状は体重減少、悪露の排出、発熱、後陣痛、産後うつなど

歪みは産後すぐは関節が動きやすいため、正しい位置に整いやすいです。しかし時間が経つと関節が硬くなりますので、産後1ヶ月(産褥期内)には治療をおすすめします。

マッサージ

産後のケア=骨盤矯正というイメージがあると思いますが。一概に矯正が必要ではありません。妊娠の身体の変化に関連する筋肉を緩ませることで骨盤の位置が整うことは十分にあります。それでも歪みが大きい場合は骨盤の矯正を行います。人に合わせた骨盤ケアを提供できます。

またオステオパシーテクニックで呼吸に合わせて坐骨を閉めるアプローチは刺激も弱く、効果も十分あります。

ただし産褥のような症状はマッサージよりは鍼灸治療をおすすめします。

産後ケアの鍼灸治療

東洋医学的考察

出産すると血が不足になります。これは胎児に血を送ったためと、分娩時に出血するためだと考えられます。血不足により身体には熱がこもりやすくなり、頭痛やめまいなどを感じやすくなる方も多いと思います。

当院では産後の諸症状はもちろん、産後の歪みの整体も行います。