肩こり
肩こり
「肩こり」とは、首から肩、肩甲骨の周囲の筋肉の筋肉の硬直感、緊張感、引きつり感、重圧感、疼痛感などを総称したものです。
表現は様々あると思いますが、肩の周りの不快感のこと。
原因
原因は多くあり、日常生活の上で簡単に起こりうることですね。
①血行が悪い
冷え性、冷房
②姿勢が悪い
猫背、足を組む、長時間の同一姿勢
③疲労
反復した動き、眼精疲労、筋力低下
④心因性(ストレス)
悩み、不安、緊張しやすい、うつ病
⑤頚椎異常
変形性頚椎症、椎間板ヘルニア、むち打ち、ストレートネックなど
その他
外傷、ホルモン異常、高血圧、風邪の初期、消化管疾患など
上記のような原因が考えられます。
一般的に肩こりの″凝り”を起こすのは、大まかに分けて3パターンです。
【運動不足】
デスクワークで1日動かない、普段から全く運動しないという方は筋肉の運動がされない
ために、姿勢の保持で筋肉が固まり、凝りが生じます。
【使い過ぎ】
肉体労働による筋疲労による凝りをいいます。重いものを運ぶ仕事など反復した動きにより
肩や腕の筋肉の疲労などで凝り固まった状態です。
【緊張】
性格的に緊張しやすい、ストレスで肩に力が入る、気を遣って肩こりするなど、自律神経の
交感神経の興奮が強い場合は部分的な凝りよりは肩首全体の凝りが生じやすいです。
凝りやすい筋肉
・僧帽筋 →首から肩から背中に繋がる表層の筋肉
・棘上筋 →肩甲骨の上部の筋肉
・肩甲挙筋 →肩甲骨をくびからつりあげる筋肉
・大・小菱形筋 →肩甲骨と背骨をつなぐ筋肉
・棘下筋 →肩甲骨の真ん中につく筋肉
・板状筋 →頭蓋骨から首の骨につくの筋肉
肩こりに伴いやすい症状
頭痛(肩こりと一緒に筋緊張性が多い)
眼精疲労(肩~首の筋肉の緊張から血流が悪いとでやすい)
吐き気(筋緊張からの自律神経症状)
めまい(三半規管への影響)
高血圧(血管収縮を起こすため)など
※あまり症状が強い場合は医師にご相談したうえで治療を受けてください
肩こりが急な痛みに変わることも!
寝違い
首から肩へ着く筋肉が硬くなり、柔軟性が無くなると、首を捻った状態で寝て起きた頃に筋肉が傷つき痛みがでます。炎症が起きたり、関節が歪んで動かすことができないなど、強い症状を呈します。慢性的な肩こりが要因となります。
手のしびれ・神経痛
腕の神経は首から出ています。首肩こりが悪化することで、硬くなった筋肉が神経の通り道を塞ぎ神経痛を起こす場合があります。これを胸郭出口症候群と言います。主に斜角筋という首の側面にある筋が起こすことが多いです。
また頚椎ヘルニアもしびれを起こします。肩こりがひどいと関節を圧迫する要因となります。
しびれは病院で一度診察を受けましょう。マッサージや鍼灸でも対応できない場合もございます。
「ただの肩こり・・・されど肩こり!」
上記のように多種多様な原因があり、いろんな症状を伴いやすいもので、
ただ肩の筋肉だけほぐせばいいものではありません。
鍼灸による全身治療で血の流れや周囲の神経の働きの改善やマッサージも頚椎の調整、腰や骨盤からのバランスの改善も含めて行わないと意味がないでしょう。
マッサージ
上記の凝りやすい筋肉はあくまでも指標となり、肩こりでも個人差は大きいですし、原因が多くあるため絶対ではありませんが、こっているのは筋肉です。
まずは筋肉をほぐすことが先決です。当院では肩こりのマッサージでは患部の方に限らず、
背中・腰・腕といった肩に関連する部位も含めマッサージを行います。
筋肉は互いに引っ張り合って動けない状態が〝凝り”として固まっているため、
局所だけでなく全身の筋肉の動き(ゆとり)をつくることが目的だからです。
マッサージで筋肉をほぐし関節アプローチを行います。
ソフトな整体(オステオパシー)や背骨の矯正(脊椎アジャスト)など
ex,,
猫背(背骨が後ろに曲がっているため肩や背中の筋肉が引っ張られ、より筋肉が硬くなる原因になります)
→ 動きにくい背骨、ずれた背骨に対して整体アプローチを加えます。
ストレートネック(首の関節が通常は前方に湾曲してますが湾曲が浅く真っすぐな状態)
→ 頚椎の歪み、関節にゆとりをもてるように整体アプローチを加えます。
胸郭が硬い(呼吸をすると広がる肋骨や胸骨が硬く、呼吸が浅い状態)
→ 肋骨に可動性を出し、横隔膜のような呼吸筋を緩めます。
症状に合わせて動きの悪い関節に可動性をつけることにより、肩の筋肉に負担が減ります。
あとはストレッチなどで自己ケアも必要に応じてお伝えします。
鍼灸治療
東洋医学的所見
古典のなかで肩こりのことを「痃癖(げんぺき)」といってます。痃は筋肉の引き
つりを意味し、癖はクセだから慢性的という意味になります。
肩こりを東洋医学でみたときは、血の不足(血虚)・熱の停滞(内熱)・血の停滞(瘀血)・冷え(陽虚)が原因になります。
各経絡に波及すると以下のような症状がでやすくなります。
首の前が凝る・・陽明経
首の後ろが凝る・・太陽経or督脈
首の横が凝る・・少陽経
胸が凝る・・肺経or心包経or脾経or陽明経
肩が重い・・脾虚証
首の付け根が凝る・・太陽経or督脈
肩甲骨の内側が凝る・・少陽経
五臓の不調による基本治療
肝虚証:肝は血を蔵すことから、血が不足しておこる病証。過労や産後など要因
脾虚証:エネルギー(気)の不足を起こし、血の停滞や内熱を起こしやすいです。
長時間の同姿勢や暴飲暴食や悪天候が要因
肺虚証:気の流れが悪く熱の停滞や冷えがおこる病証です。
体質で気の巡りが悪い人や、風邪の初期の寒気こわばり感など要因
腎虚証:下半身(下焦)を主ることから、下が冷えると上に熱が停滞しやすくなります。
陰陽のバランスが悪い状態。過労や房事過多が要因
五臓の変調(症状)は鍼灸ページの五臓六腑をご覧ぐださい。
治療に使うツボ
首にあるツボ:天柱、風池など
肩にあるツボ:肩外兪、天宗、膏肓など
腕にあるツボ:曲池、後谿、上四瀆など
症例
① 30代 女性
主訴:肩がだるい
経過:以前からあった肩こりだが、来院前日から肩が重だるいのが増した。自覚症状では左右差ないが、首のひねる動きは右へ向くと制限あり、上を向く動きも痛みがでる。首から肩甲骨まで筋肉の硬さが目立つ。
マッサージ治療にて背骨に着く小さな筋肉を緩めて、整体で頚椎を調整し緊張はとれた。
元々の肩こりに頚椎の歪みが合わさり症状が悪化した様です。肩甲骨を回す運動などご自身でケアをやってもらう。
② 40代 男性
主訴:左肩こり・痛み
経過:数か月前に体調を崩してから、左肩だけが凝り、痛むようになった。以前から左右どちらかといえば、左肩がこりやすい。動かして痛いというより、筋肉が凝り固まっているのが触診しても確認できる。
自律神経の影響、左肩甲骨の内側のあたりは心臓の反応とみて、鍼灸治療にて対応した。
肩こりを目安とするが、その他の症状も経過をみる。症状に波があるが5回ほどで痛みが減り、
肩が回すとゴリゴリなるのが気になる程度に、12回で安定してきたが、本人も心配なので、継続的に治療を受けて来ている。