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下痢・便秘

下痢・便秘

下痢の概念

 回数は問わず、糞便中の水分が正常100~150mlに対し、150~200ml以上のものと定義されています。

一口に「下痢」と言ってもその病能は様々です。アルコール等の大量摂取や、乳糖不耐症などの体質による吸収障害、食中毒やホルモンによる分泌異常など多肢に渡ります。

なぜ柔らかく水っぽいのか?

口から飲む水分や食べ物の水分は多くは大腸で吸収します。大腸の動きが悪く水分の吸収がうまくできない場合、または胃や小腸でうまく細かく消化分解できないと大腸も吸収が困難になります。

また毒素や強い酸性の消化液が多く出た場合は腸管から、薄めようとするために水分を多く出そうとします。

腸に炎症が起こるような病気になったり、ホルモンの作用や神経系の異常により腸の動きが過剰に働きすぎるとこれも吸収せずに便を送ってしまうために水分を多く含んだものになります。

体の防御反応のひとつと考えるべきでしょう。

このように下痢にもいろいろありますが、ここでは2つに分けたいと思います。

すぐにでも病院で診察・治療を必要とする下痢とそれ以外の下痢です。

すぐにでも病院で診察・治療を必要とする下痢

次に当てはまる下痢の場合は当院では治療できません。医師の診察・治療を受けて下さい。

①発熱がある

感染症の恐れがあります(exブドウ球菌、病原性大腸菌等による感染性腸炎)

②便に粘血液や膿が混じる

感染あるいは潰瘍の可能性があります

③脂肪便・米のとぎ汁の様な便

脂肪便は脂肪の吸収がうまくいかない場合に起こり、白っぽくなったり、水に浮いたりする便です(exすい臓・肝臓・胆のうの異常 )米のとぎ汁様便はコレラの可能性があります

④顕著な体重減少を伴うもの

吸収不全症候群や、甲状腺機能亢進症など

⑤摂取後すぐおこるもの

物を食べて直後~2,3日に起こるものは食中毒や薬剤性(毒物)の可能性があります

それ以外の下痢

上記に当てはまらない下痢は、体質的なものであったり一時の食べ過ぎによるものがほとんどです。

特に内臓の動きが悪いことで代謝が下がる状態による「冷え」によるものが多いです。

体質改善によってよくなるでしょう。

便秘の概念

 一般的に何日も排便がない、あるいは排便が困難な場合に便秘だと認識しますが

毎日便が出なければならないわけではありません。個人の体質や環境によってまちまちです

日本内科学会の定義では

「排便が3日以上ない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」とあります。

便秘の種類

便秘には腸自体に障害が起きて便が通れなくなる「器質性便秘」と腸の機能に異常が起こり便が動かないあるいは排便されなくなる「機能性便秘」の2種類があります。機能性便秘は原因によりさらに3種類に分かれます。

器質性便秘

器質性便秘の原因

①腸の腫瘍や炎症、閉塞などの疾患によるもの

②腸の先天的な異常(細さや長さ)によるもの

大腸がんや腸閉そく、手術後の癒着、子宮筋腫などが原因となるので生活習慣や食生活を改善しても便秘が解消されません。

腹痛や吐気、血便が出る場合は一度病院で診察を受けて原因疾患の治療を行いましょう。

機能性便秘

 原因疾患のない(検査で異常の出ない)便秘の総称で常習性便秘、慢性便秘とも呼ばれます。

 ①弛緩性便秘

 最も多いタイプの便秘で少量で硬い便がでます。

原因としてあげられるのは食物繊維の摂取不足、運動不足、筋力低下(特に腹筋)、加齢、経産婦など。

腸管への刺激が不足し腸の運動が低下し便秘となります。

②痙攣性便秘

 少量の硬い便で、時に兎糞状(とふんじょう:ウサギの便の様にコロコ ロとしたもの)になります。

精神的ストレスにより自律神経の働きが過度に強まり大腸が痙攣(けいれん)して便が運べない状態です。

過敏性大腸症候群で便秘になる場合ここに当てはまります。

③直腸便秘

 不規則な生活や環境の変化、便意の我慢、下剤・浣腸の乱用によって起こる便秘です。

通常は直腸に圧力(便による)がかかると便意を感じる「直腸反射」が起こり排便に至ります。

この便秘では前述の原因によりその反射が弱くなり便意を感じなくなり便秘が起こります。

マッサージ

日本では古くから按腹(あんぷく)と言ってお腹のマッサージが行われておりました。当院でも腹部のマッサージを取り入れております。

強く押すといくら腹筋があるといえ、内臓があるので、ソフトな刺激で押したり・擦ったり・流すように腸の動きを促します。

またオステオパシーテクニックで腹膜や消化器を直接刺激することもします。

術中にグルグルお腹が動くことを実感されるはずです。

鍼灸治療
東洋医学的考察

東洋医学では、肺と大腸は表裏関係で陰陽の気の調整を行います。大腸に陰気が多くなると冷えて便が出やすくなります。陽気が多くなると熱がたまり出にくくなります。

また水分は胃腸で吸収され古典では主に小腸で吸収し膀胱へ送る。そして胃腸を動かしているのが脾と言われ、脾が弱くなると小便が減り下痢になります。

下焦には腎があり、膀胱と表裏関係です。位置でいうと腎の前に腸があり、腎が虚し熱が発生すると膀胱熱により小便がよく出る。腸は水分が乾燥し便秘になる。

下痢の分類

腹痛のない水様性の下痢、のぼせを伴う:腎虚

悪寒・発熱で腹痛が少し: 肺虚陽明経実熱証

食後すぐ便意を催す。軟便で残った感じ:脾虚陽虚寒証・小腸の熱

月経中に下痢:肝虚陽虚

手足が冷え、食欲なし、腹痛あり、不消化便、下痢回数多い、下痢のたび元気なくなる:

脾虚陽虚・脾虚腎虚・腎虚陽虚など

便秘の分類

便秘は腸に熱が多いとなる。

熱病が原因で起こる便秘・食べ過ぎによる便秘:脾虚陰虚熱証・脾虚肝実証

陰虚により津液不足の便秘:肝虚陰虚・腎虚陰虚

硬い便か便秘になりやすい体質:脾虚肝実瘀血証・肺虚肝実瘀血証

治療に使うツボ

腹部のツボ:中脘、天枢、関元

下痢:足三里、上巨虚、復溜、三陰交

便秘:尺沢、大都、神門、曲池

体質で下痢になりやすい人は多くは消化吸収障害ですが、腸の動きを活性すれば下痢の頻度は少なくなり腸が動きが改善すれば免疫の働きも向上します。体質改善するには適していると考えています。

症例

10代 男性

主訴:過敏性腸症候群(下痢)

経過:もともと体が弱く、主な症状は食後直後の下痢、ガスが溜まりやすく、すぐ疲れる、朝起きるのがつらいでした。以上の症状が長く続いたため鍼灸治療を試すために当院へ。

治療当初は週2回のペースで治療を行い、徐々に症状緩和、調子によって週1から10日に1回程の治療間隔へ拡げ約10か月で体調安定し治療終了。

体質がうまく変わった症例です。自己養生や日々のライフスタイルに気を付けることで状態がより安定すると思われる。