膝痛
膝痛
膝の痛みにも様々な病態に分けられます。曲げると痛い、体重をかけると痛い、内側なのか外側なのかなど。
筋肉が問題なのか、関節の軟骨が原因なのか骨に問題があるのか。どれに当てはまるかによっての違いを解説します。
膝の痛みの種類
膝の痛みの原因は主に以下の4つに分けられます。
①スポーツ障害
②加齢
③日常の使い方(運動不足)
④病気によるもの
①スポーツ障害
その名の通りスポーツをすることによっておこる痛みで、2種類に分けられます。
急性のケガ
ぶつけたり急な動きをした衝撃で起こした痛み
半月板損傷・靱帯損傷・その他外傷
使い過ぎ・オーバーユース
過度な練習や不十分なケア、慣れていない運動で起こります
Ex)腸径靭帯炎(ランナーズニー)・膝蓋靭帯炎(ジャンパーズニー)・離断性骨軟骨炎・鵞足炎・タナ障害・膝蓋軟骨軟化症・オスグット病
スポーツ障害の治療
急性の場合は応急処置(RICE処置)、使い過ぎによる場合は第一に安静。使いすぎた筋肉を
ストレッチやマッサージ等でほぐす。それでも痛みが続く場合は早めに受診しましょう。
②加齢や日常生活の使い方による膝の痛み
加齢の場合は40代から徐々に多くなります。「歳だから・・」と我慢しているとはじめは軽い痛みだったものが数年後に歩行困難な痛みとなる場合があるので早めの治療が大切です。運動不足やフトモモの緊張は加齢による膝痛の予備軍です。しっかりとした予防をしましょう
ex:変形性膝関節症・膝蓋大腿関節症
③加齢や日常生活による膝の治療
加齢による変形自体は治りませんが、周囲の筋肉の柔軟性アップや筋力強化によって痛みを軽減できます。
運動不足の場合はストレッチやマッサージでケアをしながら無理のない運動を心がけましょう。
また、痛みにたいして鍼灸治療が効果的です。
④病気によるもの膝痛
膝自体には問題の無い場合もあります。
ex:骨軟骨腫・骨肉腫・軟骨肉腫・関節リウマチ色素性絨毛結節症・滑膜炎・変形性股関節症・痛風・大腿骨頭壊死神経病性関節症・化膿性関節炎・結節性関節炎・滑膜骨軟骨腫・股間節炎・ペルテス病・有痛性分離膝蓋骨
病気による膝痛の治療
原因疾患の治療が必要です。
膝の痛みの予防法
日頃のケアとしてストレッチが最も効果的です。運動による筋肉の強化も必要ですが、筋肉の柔軟性が無ければ疲労が溜まりやすくケガもしやすいです。ストレッチのコツをご覧ください。また、膝に水が溜まった状態にはお灸が有効です。
鍼灸治療
東洋医学的所見
東洋医学での膝痛はいくつかの要因で起こるとされています。一つは湿による関節痛です。天気が悪くなると膝は病めるという方は湿性の関節症です。湿は水分が停滞している状態で、脾の働きが弱いと水分が溜まりやすくなります。湿が多く、熱が発生すると膝など関節への痛みが出やすくなります。自発痛が強く、変形伴う。リウマチ性関節炎など
次に筋を主る肝が弱くなると筋肉が痛み、熱が慢性化すると、徐々に関節の変形もともないます。肝陰虚は腎虚も伴い腎陰不足から骨への症状へ移行しやすいです。自発痛や運動痛があり、膝内側の痛みが多い。変形性膝関節症、鵞足炎など
次に腎虚が主な膝痛があります。慢性的な腎陰不足(体質や加齢)から、足が浮腫みやすい方で中年以降の女性に多く、浮腫みがあり、熱感や腫れがわかりづらいことがあります。恐らく水分が膝関節を圧迫して痛みをだしているのでしょう。腎陰を補い津液(水分)を固め腎に収めれば浮腫みが解消し痛みが軽減します。
上記のようにどの臓が弱っているかによってベースの治療を変えますが、膝の局所治療は次のような処置を行います。
腫れがある場合:腫れている部位周辺に置鍼
熱がある場合:知熱灸(大きいお灸)で熱の発散
圧痛が強い部位へ:透熱灸(熱いお灸)で鎮痛
よく使うツボ
足三里、豊隆、膝眼、梁丘、膝陽関、陰陵泉、陰胞、鶴頂など
鍼灸治療で鎮痛や筋肉をゆるめて、膝の関節(ももの骨とスネの骨)の捻じれを調整し、膝蓋骨(膝の皿)を動かしやすいように調整して効果をあげます。
症例
80代 女性
主訴:右膝と腰の痛み
経過:2か月前から膝の痛みが出て歩けない。以前から変形性膝関節症ではあったが、急に悪化した。
膝の裏に痛みを訴える。浮腫があり、腫脹や熱感はなし。浮腫みによる神経圧迫かと思われたが、浮腫みの症状は軽減後も疼痛は続き、膝関節の捻じれが原因のようだった。慢性的な腰痛をかばって歩いたことにより、膝への負荷が増したようだ。腰痛の治療と膝の歪みの治療で疼痛はほぼなくなり終了。腰痛はケアが必要である。